
HAZE FRP 30号
UNDULATION : HAZE / 異形は光を孕む #02
本作《 HAZE / 異形は光を孕む 》は、これまで絵画が前提としてきた「平面」という枠組みを静かに、しかし確かに揺さぶる作品である。FRPによって成形された支持体は一般的な四角いキャンバスとは異なり、不均衡で有機的な輪郭を持つ。その形は単なる外見ではなく光を受け止め、変化させるための器として機能している。
表面には高精度に整えられたシルバーの塗膜が基層として施され、その上に透過性のある色が幾重にも重ねられている。この構造によって光は表面で反射するだけでなく、内部へと入り込み、層の中で反射と透過を繰り返しながら再び現れる。結果として、色彩は固定されたものではなく、見る位置や光の状態によって表情を変え続ける。
こうした現象は単なる視覚効果にとどまらない。支持体の形状 / 塗装の精度 / 層の重なりといった複数の要素が密接に関係し合うことで、はじめて成立している。作品全体は、光・素材・形が一体となったひとつの構造として立ち上がっているのである。またこの多層的な構造は時間の積み重なりを感じさせる。幾重にも重ねられた塗膜は、制作の過程そのものを内包し、目には見えない時間の厚みを静かに伝える。同時に形を超えたものへの感覚や、自然の中に宿る気配を感じ取るような日本的な精神性ともどこかで響き合っている。
本作が示しているのは、「整った形」だけが美であるという考え方への柔らかな問いかけでもある。歪みや非対称といった要素は欠けたものではなく、むしろ光を受け取り、新しい美しさを生み出すための契機として働いている。異形である事がそのまま作品の魅力へと転じている点は印象的である。
絵画、彫刻、そして工業的な技術の領域を横断しながら、本作は光と物質 / 形の関係をあらためて見つめ直すきっかけを与えてくれる。同時に私たちが「見る」という行為そのものに確かな変化を促す作品と言えるだろう。






