
Dragon 組絵 / 黒龍 & 銀龍
2 Symbols
本作は日本の精神文化の深層に位置する龍の象徴性を、現代的な抽象表現へと昇華した試みである。とりわけ本作において重要なのは、単体のイメージとしての龍ではなく、「黒龍」と「銀龍」という二つの存在が対となり、組み絵として構成されている点にある。日本の神道において、龍は水や気の流れを司る存在であり、目に見えない自然の循環そのものの象徴とされる。黒龍は深淵や根源、すなわち大地や夜の静謐さを内包する存在であり、一方で銀龍は光や変容、天へと昇るエネルギーを象徴する。両者は対立ではなく補完関係にあり、陰陽のように互いを必要としながら世界の均衡を保っている。
本作が組み絵として提示されることの意味は、この「関係性」そのものを可視化する点にある。単体では成立し得ないエネルギーの循環、すなわち分かたれた二つが響き合うことで初めて立ち現れる全体性が、ここでは表現されている。鑑賞者は二つの画面を行き来することで、静と動、内と外、重力と浮力といった相反する要素の往還を体感することになるだろう。
また、両作品に流れる色彩の差異も極めて示唆的である。黒龍の画面には、深く沈み込むような黒を基調に、重層的な色の揺らぎが内包されている。それは単なる暗さではなく、無数の可能性を孕んだ「未分化の状態」を想起させる。一方で銀龍の画面には、光を反射するような軽やかさと流動性があり、色彩はより拡散的で、空間へと開かれている印象を与える。この対比は、物質と非物質、潜在と顕在といった二元的構造を示しながらも、決して分断的ではない。むしろ両者は連続しており、黒の深奥から銀の輝きが生まれ、銀の拡がりが再び黒へと還っていく循環のプロセスが暗示されている。
UNDULATIONという概念が示す「波動」や「揺らぎ」は、この作品において単なる視覚効果ではなく、存在そのものの在り方として提示されている。龍とは固定された形ではなく常に変化し続ける流れであり、その流れを二つの相として捉えた本作は、日本的自然観の現代的解釈として位置づけることができるだろう。
Dragon 組絵 / 黒龍






Dragon 組絵 / 銀龍









